ContextMixerを作った次に考えること

ContextMixerは作って終わりではなく、運用して初めて価値が出る。AIが自発的にナレッジベースを読み書きするには、何をどこに書くか、いつ書くか、書いていいかのルールが必要です。

この運用仕組みを「AI Cortex」と呼んでいます。

プロジェクト単位のナレッジ構造

各プロジェクトには4つのドキュメントを置きます。

  • context — 現在のフェーズ、直近の作業、未解決事項、次のエージェントへの引き継ぎ
  • spec — ゴール、要件、技術構成(確定事項のみ)
  • decisions — 設計判断の理由と経緯、検討した選択肢と却下理由
  • notes — ライブラリのクセ、バグ、実装Tips、アイデア出しの記録

エージェントが作業を始める時にまず context を読み、必要に応じて spec も読む。作業終了時に context を更新して次のエージェントに引き継ぐ。このサイクルを回すことで、セッションをまたいでコンテキストが失われなくなります。

記録したい情報の種類を明確にしておくのが大事で、仕様・設計判断・技術調査・UXアイデア(ボツ案含む)・ライブラリの罠・未解決事項と分けておくと、後から「なぜこの選択をしたのか」を追いやすくなります。

CLAUDE.mdとSkillでルールを共有

エージェントの行動ルールは CLAUDE.md とSkillファイルで定義しています。CLAUDE.md には最小限の指示を書き、詳細なルールはSkillファイルに切り出しました。

# {プロジェクト名}

## ナレッジベース
作業に関わる情報はすべてContextMixerで管理している。

## 作業開始時に必ず実行すること
1. 該当プロジェクトの context を読む
2. タスクに関連する場合は spec も読む

## knowledge-management スキルを使うタイミング
- 作業終了時(contextの更新・記録判断)
- 技術選定・ライブラリ選択をした時
- 仕様や設計方針を決定・変更した時
- ライブラリのバグ・クセ・回避策を発見した時

Skillファイルには禁止事項も書いています。「ユーザー確認なしにdecisionsを作成しない」「specに検討中の内容を書かない」「過去の記録を上書き・削除しない」。AIが勝手に判断を記録して事実と混ざるのを防ぐためです。

NotionからContextMixerへの移行

最初はNotionでこの構造を作っていました。Claude.aiチャットからNotion MCP経由で読み書きできるのが理由です。GitHubリポジトリ + GitHub MCPも検討しましたが、当時Claude.ai webにGitHub MCPコネクターが存在せず、チャットからの書き込みができないという制約がありました。

Obsidian Vault + Git + filesystem MCPも候補にありました。ローカルファイルでツールロックインなし、Claude Codeからはアクセスしやすい。しかしClaude.aiチャットからローカルファイルにアクセスできないのがネックでした。PocketBase + カスタムMCPも考えましたが、長文テキストをDBに入れる抵抗感とMCPサーバーの自作コストで見送り。

Notionで運用してみて、レイテンシとトークン消費の問題が浮かんできた。Notionのリッチなブロック構造は人間には便利ですが、AIが1段落のためにページ全体を取得しなければならないのは無駄が多い。そこでContextMixerを自作して移行しました。粒度を選べる取得APIのおかげで、トークン消費は劇的に減りました。

運用してみての所感

ContextMixerに移行してから、30以上のプロジェクトコレクションが動いています。各コレクションにcontext/spec/decisions/notesが置かれ、エージェントがセッションをまたいで引き継ぐサイクルが回っている。

一番効果を感じるのはClaude Codeでの開発場面で、「前回どこまでやったか」を人間が説明しなくて済むこと。エージェントが自分でcontextを読んで続きから始められる。MCP経由で検索もできるので、「このプロジェクトの設計方針は」と聞けばAIが勝手にContextMixerを検索して持ってきてくれます。

今後の改善

AI Cortexの運用を続ける中で、いくつか課題も見えてきました。 重複するドキュメントができることがあります。同日に似たテーマの思考記録が複数書かれることがあり、書き込み前に検索で重複をチェックする習慣をエージェントに教える必要があります。 また「誰の指示でいつ何を学習したか」という監査証跡の仕組みも、ai-cortexのrulesコレクションと関連して今後整備していきたい領域です。